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JOURNAL

キューバを旅する

By 2016年10月24日3月 1st, 2022No Comments

時を越えて

ふと思い立ったように、キューバへの旅を決心した。
キューバは1959年の革命とともに時を止め、
現在でも古き良き自動車や街並みがそのまま遺されている。
国交正常化が決まり、まだアメリカ資本の入っていないキューバを、
どうしても自分の肌で感じておきたかったのだ。
ハバナのホセ・マルティ空港に到着し、タクシーでオールドタウンへ。
もちろんタクシーはキューバ革命以前の車がほとんどだ。
たまにTOYOTAの車やロシアの車も見かけるが、ほとんどが革命以前の遺産だ。
エンジンはさすがに載せ換えてるらしいが、よく故障で道端に停まってる。
街が排気ガスに覆われてるところもハバナらしい。

郷に入れば郷に従え

ハバナに行くなら旧市街もいいが、新市街の街中も面白い。
綺麗に塗り直された壁沿いに歩くとまさにタイムスリップしたような感覚になる。
通貨は兌換ペソと人民ペソに分かれており、ツーリストはほぼ兌換ペソで行動する。
しかし、人民ペソでないと味わえない地元ならではのお店もあり、
キューバに訪れるならば、ぜひとも人民ペソを手に入れてローカルを楽しみたい。
なぜなら物価がおそろしく安いからだ。
人民ペソでしか買えない強いビールがキューバにはあり、それが一番うまい!

ファミリア

街を散歩していると音楽が聞こえてきて、
覗き込めば家族と近所の人でちょっとしたパーティをしているようだ。
近所の人もどうやらみんな家族みたいなものらしい。
そしてとにかく、お年寄りがサルサダンスがうまい!
革命以前は楽しみがサルサしかなかったのかと思うと少し辛いが、
それでも陽気な明るさと人懐っこさはどこか昔の日本を思わせる。

キューバの友人ディアゴに聞いた。

「キューバの人はなぜそんなに歌や踊りが好きなの?」

ディアゴは当然のように答えた。

「家族が全てでみんなで楽しみたいからさ」

家族の時間を大切にするという意味の単語「ファミリア」、
キューバではこの言葉を最も多く聞いたかもしれない。
少し、当たり前だけど家族の顔が恋しくなった。

写真・文章:スタイリスト 村上 由祐