情熱の街
慌ただしい年の瀬、ふと思い立ち向かった先はスペイン・バルセロナ。
これまでの喧騒が嘘のように、心地よい穏やかな熱気と陽気な人々に触れ、
地中海に面した開かれた土地に来たという実感が沸き出す。
未完成という完成
この旅の目的、それはアントニオ・ガウディに会いに来たのだ。
バルセロナにはガウディ建築が多く、街と密接な関係を持っている。
まずはガウディが人生の全てを捧げたというサグラダファミリアへ。
亡き現在でも建設の途上であるその建造物は、
とても荘厳であり優美で、あまりの魅力に言葉を失う。
細部の至るところまで細工が施され、
自然界の法則をふんだんに取り入れたこの有機的な建築は、
穏やかで温かみのあるエネルギーに満ち溢れていた。
原点への旅
バルセロナから北西へ約50km離れたモンセラットへ。
ガウディがこの山の風景をみて建築のインスピレーションを得たという。
この山はもう何世紀という時を経て、かたちを変えずここにある。
“いま目の前にあるこの風景は彼が見たものと同じだ”
と気付いた時、少し胸が熱くなった。
写真・文章:デザイナー ソノダタカコ